「中国語の勉強をしてみたいけど、どれくらい難しいのか想像がつかない」という悩みを抱いている方向けに、記事を執筆しています。
ご存知の通り、中国語は全て漢字で成り立っているので、日本人にとっては馴染みやすい印象のある方もいるかもしれません。一方で、中国語の発音や文法に難しいそうなイメージを抱いて、抵抗感のある方もいるでしょう。
そこで本記事では、中国語をこれから始めようと考えている方に、中国語の難易度を単語や文法、発音などのカテゴリーごとに解説していきます。同時に、日本語との違いや、日本でポピュラーな外国語である英語との比較で、中国語の難易度を検討していきましょう。
単語の難易度

中国語の単語は、日本人にとって易しいと言えるでしょう。なぜなら、全て漢字で成り立っているからです。
ただし中国語の漢字には、大きく分けて2種類あります。その2つとは、簡体字と繁体字です。簡体字は、中国本土で使用されていて、繁体字は台湾で使用されています。また香港も繁体字ですが、単語の使い方が台湾と異なっているものも多いです。
漢字が使われているとはいえ、形が異なる上に、日本語にもあるような単語でも意味が異なることがあるので、注意が必要でしょう。難易度は低いですが、学習の家庭で混乱する恐れがあるのです。
日本語との比較
日本語と中国語では、同じ単語が同じ意味で使われているものがあります。例えば、「学校」は漢字で書くとまったく同じです。
しかし日本語は、ひらがなとカタカナを組み合わせて文を作るのに対して、中国語は日本語のひらがなで表現する部分も全て漢字です。
そのため、中国語での漢字の使い方に戸惑うことも少なくありません。また日本語の熟語を、中国語でも通じると思って使ったとしても、ほとんどの場合、意味が異なっているので誤解を生んでしまう可能性が高いです。
単語は語学学習の根幹と言えます。中国語と日本語は似ているけれど別ものという意識を持って、学習してみてください。
英語との比較
難易度で言えば、英語と中国語に大差はあまりないでしょう。なぜなら、多くの英語がカタカナとして日本語になっているからです。
中国語が漢字なのに対して、英語はアルファベットなので、日本人にとっては中国語の方が馴染みやすい印象があるかもしれません。しかし今やアルファベットも、日常のいたるところで見かける上に、個人の使用頻度も高いです。
英語がどんどん日本語として使われている現状をふまえると、英語と中国語の単語は、日本人にとってどちらも同じくらい取り組みやすくなっていると言えるでしょう。
ただし中国語は、日本語と言語的に近いので、学習が進めば進むほど、中国語の方が勘が働き学習しやすいです。
発音の難易度

中国語の発音は、日本人にとって難しいです。中国語の発音を難しくしている原因は、発音の種類の多さと声調です。なんと中国語には、405種類もの発音の組み合わせがあり、学習を進めるうちに覚えていかなければなりません。
しかも声調という、単語の持つイントネーションのようなものが4種類あります。同じ発音でも、声調が異なれば全く違う単語になることもよくあるのです。とはいえ、日本人として中国語ネイティブの人と会話した場合、発音が正しくなくても表情や文脈から、相手がある程度の推測をしてくれるでしょう。そのため、完璧主義になる必要はありません。実際に使って、失敗しながら学んでいくのが上達の近道でしょう。
日本語との比較
ご存知の通り、日本語は51種類の発音で成り立っています。そのため、中国語の発音の種類の多さと複雑さには敵いません。また日本語の漢字の音読みは、中国語由来ですが、正確な発音は全く違うように感じるはずです。もちろん、日本語と中国語で発音が似ている言葉は、いくつもあります。しかし、実際に発音しようとすると、難しくて相手に通じないことが多いでしょう。
中国語学習の初めは、発音練習が主でしょう。確かに声調があって、発音の種類は多いですが、慣れれば自然と発音できるようになっていきます。初心者のときこそ、徹底的に発音練習して、早めのうちに慣れるようにしましょう。発音ができるようになってくると、リスニングにも効果がありますよ。
英語との比較
英語と中国語の発音の難易度は、単純に比較することはできませんが、声調がある分、中国語の方が難しいです。母音の数や発音の種類も中国語の方が多くなっています。
日本人にとって、英語の発音には馴染みがほとんどありません。アクセントもそうですし、巻き舌や脱音などは日本人にとって難しいでしょう。またリエゾンという、単語と単語で音が繋がるように発音があります。その法則に慣れるのには、相当な練習が必要になります。
ただ、英語はまだ片言でも通じますが、中国語は少しの発音の違いで単語が変わったりすることが多いため難しいでしょう。
文法の難易度

中国語の文法は、易しいです。なぜなら、ルールが少ないからです。例えば、時制がなく、過去・未来・現在の区別は、時を表す単語の有無で決まります。中国語は基本的にSVOで成り立っていますが、形容詞の表現や介詞、完了、継続表現など、多様な構文があります。
感覚的には日本人には馴染みやすいでしょう。文法は読解や作文にはもちろん、リスニングや会話でも意味を伝え、理解するのに不可欠です。中国語の文法は項目が少なく、難易度も頭打ちになるので、反復練習で全て覚えてしまいましょう。
日本語との比較
中国語と日本語の文法は、大きく異なります。まず基本の文構造がSVOであるのは、日本語にはない特徴です。一方で語尾を変えるだけで疑問文になったり、完了を表すことができたりするところは日本語と中国語でとてもよく似通っていると言えるでしょう。
ただし日本語と中国語の大きな違いは、言葉の並びの自由度にあります。日本語は、文を構成する要素の並びが変わっても、受け取る印象が変わることはあっても、意味は変わりません。しかし、中国語は文の要素の並びや漢字の並びが決まっていて、並びが変わると大きく意味も変わったり、文として成り立たなくなったりします。
英語との比較
文法に関しては、英語の方が難しいでしょう。中国語と英語では、文の要素の並びが似ているところもあります。英語にも中国語にもSVOが存在し、中国語の「是」という単語を使った表現ではSVCも存在します。
しかし、英語と中国語ではその他のことで大きく異なります。例を挙げればきりがありませんが、特に違うのが、「動詞の変化」ではないでしょうか。英語の動詞は過去や完了、受け身などを表すのに動詞の形が変わります。そのルールはかなり複雑で、戸惑ってしまう学習者も多くいます。一方で、中国語の動詞は一切変わりません。言ってしまえば、中国語は表現を覚えて、単語の並べ方を間違えなければ意味が通じるのです。
リスニングの難易度

中国語のリスニングは、日本人にとって難しいでしょう。発音のところでお伝えしたように、声調と多くの発音があって、聞き分けるのが大変だからです。
特に、中国語は他の言語と違って、音から単語にたどり着くまでに、次のような4段階のステップを踏みます。
「音→ピンイン→漢字(単語)→意味」
ピンインというのは、中国語の単語の発音を表すアルファベットのことです。ピンインがわかっても、声調で迷ってしまうと単語にたどり着けません。そもそもピンインにも、日本人にとって区別しにくい発音があって、割り出すのは一苦労です。中国語のリスニングを勉強する際は、音を聞いてすぐに漢字と意味が思い浮かぶように練習するのがおすすめです。
日本語との比較
日本語は一つ一つの発音に、一つの文字が付いているので、聞き取りやすさは大きく違うと思います。しかし中国語は、漢字の正確な並びによって文が成り立つため、日本語に比べて圧倒的に省略が少ないのが特徴です。
日本語は、主語や目的語など、文の要素を言わなくても文脈で判断して会話が成り立ちます。しかし、中国語は正確に言わなければ意味が変わったり文として成り立たなかったりしてしまいます。文の構成を省略されないことは、中国語のリスニングの意味を理解するのに、助かるのではないでしょうか。
英語との比較
英語のリスニングは、中国語と同じくらいの難易度でしょう。もちろん、全く違う言語で、特徴も違いうため一般論としてお伝えするには正確ではないでしょう。個人の感じ方次第です。
それでも、英語は日本人には慣れない音のつながり(リエゾン)と複雑な文法があるため、リスニングで意味を処理する負担は中国語と大差がない印象です。英語は発音から単語を導きやすいですが、それでも脱音や単語同士の同化があります。また、音から文法を連想して意味を把握するのにも、時間がかかってしまうでしょう。
スピーキングの難易度

中国語のスピーキングで重要なことは、単語の「発音」と伝わる文章をつくる「文法(作文力)」です。その点をふまえて考慮すると中国語のスピーキングは、難しいでしょう。
やはり、何より発音が難しいです。声調やピンインの発音ミスで、単語の意味が全く違ったり、言葉自体に意味がなくなったりしてしまうでしょう。単語単体の発音ならまだしも、文章という言葉の連続で意思表示をしなければ意味がありません。
一方で文法は単語の並び方に気をつければいいので、難易度は高くありません。勉強法としては、短文を反復して作成して覚えるのが得策です。
日本語との比較
スピーキングにおける日本語との違いは、省略の有無です。先ほどもお伝えしたように、中国語は正確に単語を並べないと意味が通じません。一方、日本語は省略や文の要素の並びかえが比較的自由で、付け加える言葉によって、文意を変更することができますよね。
英語との比較
スピーキングについては、中国語よりも英語の方が難易度が高いでしょう。なぜなら文法構造が難しく、発音もに日本人には馴染みがないからです。英語は文法表現が複雑で、意識しなければならないことがたくさんあります。その上、日本語と大きく意味が異なる表現も多く、思い浮かべた日本語をそのまま英語にすると、英語として不自然な表現になることが多いでしょう。
また発音も馴染みがないものが多く、なかなかうまく伝えられません。巻き舌や脱音、リエゾンはその典型例で、慣れるまで徹底的に発音練習を繰り返すしかありません。日本人は、一つ一つの発音をはっきり伝えるくせがあり、英語に苦手意識が強い傾向があります。
日本人が難しいと感じるポイントとは

中国語において、日本人が難しいと感じるポイントは次の4つではないでしょうか。
- 声調と発音
- 漢字の形が違う
- 文法
- リスニングでの意味理解
声調と発音
中国語の発音は、難しいです。
特に声調と種類の多い発音には、苦労すると思います。
声調は、中国語特有です。同じピンインでも声調のが変われば意味も違うので、区別ができるまで反復練習しなければなりません。
漢字の形が違う
漢字の形が異なるので、また新しく漢字を覚えていかなければならないでしょう。
簡体字とは、漢字を簡単に書けるように工夫された漢字のことです。
日本語の漢字と、簡体字を混ぜて混乱してしまうこともあるでしょう。
さらに台湾語に興味のある方は、繁体字を学習しなければなりません。
文法
中国の文法は、言ってしまえば漢字の並び方です。
ただし、日本語と構造自体が異なる表現が多数あるので、理解するのが難しいでしょう。
SVOの並びに加えて、中国語特有の完了表現や介詞などに戸惑うかもしれません。
中国語には、漢字の種類や位置によって意味が変わる繊細なところもあります。
リスニングでの意味理解
リスニングは、音から意味を理解するのに、ピンインと漢字を挟む分、時間がかかってしまうでしょう。
ピンインはわかるのに、漢字がわからなかったり、漢字がわかっても意味が出てこなかったりすることがあるのです。
音からすぐに意味がわかるように、反復練習しましょう。
ただし、音が一緒なのに違う単語もあることには、注意が必要です。
まとめ

中国語の各カテゴリーの難易度を「難」、「易」でまとめると次のようになります。
- 単語:易
- 発音:難
- 文法:易
- リスニング:難
- スピーキング:難
中でも日本人にとって、難しいと感じるポイントは次の4つでしょう。
- 声調と発音
- 漢字の形が違う
- 文法
- リスニングでの意味理解
もちろん、人によって感じ方は違うはずです。
リスニングが得意な人もいれば、文法を難しく感じる人もいるでしょう。
まだ学習を始めていない人は、難易度のイメージをつけながら勉強を始めてみてください。
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